2019 SuperSix EVO Hi-MOD Disc Dura Ace

購入してかなり月日が経過しましたが、去年購入したSuerpSix EVO Hi-MOD Disc Dura Aceのレビューをしたいと思います。

PWR(重量出力比)が3くらいしかないヘボサイクリストなので、あんまり当てにならないことを最初に記す。

以前乗っていた自転車

S-WorksのTarmac(2014年販売モデル)のフレームにUltegraコンポーネントをつけて乗っていました。ホイールもUltegraにして、総重量が7.6kgでした。アルミロード(CAAD10)から乗り換えたときはものすごい感動しました。

S-Works Tarmac
S-Works Tarmac SLいくつなのかは忘れたけど、2014年に"New Tarmac"って宣伝されてたやつ

購入したあと、Bora Oneや、Dura-Aceのホイールに変えたりして200gほど重量が下がりましたが、ダンシングでもシッティングでもしなやかな印象で、まさにオールラウンドというロードバイクでした。

今回購入したモデル

Cannondaleのオールラウンド(外観は全然オールラウンドしてない)として完全にモデルチェンジ(チェンジというか面影が残されていない)したSuerpSix EVOの機械式Dura-Ace版です。

雨沢峠で撮った

Hi-MODの同一フレームのラインナップとしてはDura-Ace Di2、Ultegra Di2、Dura-Ace(機械式)の3種類。
購入したDura-Ace(機械式)モデルはスプロケットUltegra、クランクはHollowGramということ以外、パーツ構成はほぼDura-Aceの構成となっています。
フラグシップ製品の中では一番、グレードが低いモデルになります。
モデルチェンジしたことは店頭に飾られたHi-MODではない通常のSuerpSix EVOが行きつけのショップで展示されていて気づいたのですが、そろそろ新しい自転車を購入しようと思ってHi-MODのモデルをネットで調べてみると、恐ろしいことに、このモデルの定価は720,000円(税別)でした。
フラグシップだと一桁軽く超えるのが当たり前だと思ってましたが、こんなに安いのか、とかなり驚きです。
この価格帯でフラグシップ製品を売り出しているメーカーと言うとGiantくらいしかなく、そのタイミングでフルモデルチェンジしているオールラウンドディスクロードとなると多分Cannondaleしかなかったように思います。
そろそろ新しい自転車に買い換えようと思ったタイミングだったので、購入を決意しました。
個人的にはDura-AceよりもUltegraのほうが好き、というか価格差に見合った性能差に魅力を感じないのでUltegraでも良かったのですが、UltegraはDi2モデルしか販売されていなかったのでこっちを選択しました。
それでも機械式のDura-AceよりUltegra Di2は上位製品なので、8万円くらい高いです。
後々、考えるとDura-AceよりもUltegra Di2モデルを購入したほうが良かったかもしれない、と思っています。

最上位モデルとの違い

SuerpSix EVO Hi-MODのDura-Ace Di2とDura-Ace(機械式)の違いは以下の通り。
太字したところが、おそらく重量差があるパーツです。

メーカーサイトから抜粋、加工

パーツ項目 SuerpSix EVO Hi-MOD Disc Dura Ace Di2 SuerpSix EVO Hi-MOD Disc Dura Ace
Wheel Sensor Cannondale Wheel Sensor Cannondale Wheel Sensor 同一
Bottom Bracket Cannondale Alloy PressFit30 Cannondale Alloy PressFit30 同一
Chain Shimano Dura-Ace, 11-speed Shimano HG701, 11-speed 違う
Crank HollowGram SiSL2 w/ pre-installed power2max NG Eco Power Meter (not activated), BB30a, Vision rings, 52/36 HollowGram w/ pre-installed power2max NG Eco Power Meter (not activated), BB30a, FSA rings, 52/36 違う
Front Derailleur Shimano Dura-Ace Di2, braze-on Shimano Dura-Ace, braze-on 違う
Rear Cogs Shimano Dura-Ace, 11-30, 11-speed Shimano Ultegra, 11-30, 11-speed 違う
Rear Derailleur Shimano Dura-Ace Di2 Shimano Dura-Ace 違う
Shifters Shimano Dura-Ace hydro disc, 2x11 Shimano Dura-Ace hydro disc, 2x11 同一
Fork BallisTec Hi-MOD Carbon, SAVE, integrated crown race, 12x100mm Speed Release thru-axle, flat mount disc, internal routing, 1-1/8" to 1-1/4" steerer and 55mm offset (44-54cm), 1/8" to 1-3/8” steerer and 45mm offset (56-62cm) BallisTec Hi-MOD Carbon, SAVE, integrated crown race, 12x100mm Speed Release thru-axle, flat mount disc, internal routing, 1-1/8" to 1-1/4" steerer and 55mm offset (44-54cm), 1/8" to 1-3/8” steerer and 45mm offset (56-62cm) 同一
Frame All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, integrated cable routing w/ Switchplate, 142x12 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a, flat mount disc, integrated seat binder All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, integrated cable routing w/ Switchplate, 142x12 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a, flat mount disc, integrated seat binder 同一
Rear Hub HollowGram KNØT, 12x142 centerlock w/ DT Swiss internals HollowGram KNØT, 12x142 centerlock w/ DT Swiss internals 同一
Rims HollowGram 45 SL KNØT, Carbon, 20h front, 24h rear, 45mm deep, 21mm ID, tubeless ready HollowGram 45 KNØT, Carbon, 20h front, 24h rear, 45mm deep, 21mm ID, tubeless ready 違う
Spokes DT Swiss Aerolite Formula Grand Forza 違う
Tire Size 25 25 同一
Tires Vittoria Corsa, 700 x 25c Vittoria Rubino Pro Bright Black, 700 x 25c 違う
Wheel Size 700c 700c 同一
Brake Levers Shimano Dura-Ace hydro disc Shimano Dura-Ace hydro disc 同一
Brakes Shimano Dura Ace Di2 hydro disc, 160/140mm RT900 rotors Shimano Dura Ace hydro disc, 160/140mm RT800 rotors 違う
Grips Cannondale Grip Bar Tape w/Gel, 3.5mm Cannondale Grip Bar Tape w/Gel, 3.5mm 同一
Handlebar HollowGram SystemBar SAVE, Carbon, 8 deg. pitch adjust HollowGram SystemBar SAVE, Carbon, 8 deg. pitch adjust 同一
Saddle Prologo Dimension Nack NDR, 143mm width, carbon rails Prologo Dimension NDR, 143mm width, Tirox rails 違う
Seatpost All-New HollowGram 27 SL KNØT, carbon, 2 bolt clamp, 330mm All-New HollowGram 27 SL KNØT, carbon, 2 bolt clamp, 330mm 同一
Stem All-New HollowGram KNØT, alloy w/ cable cover, -6° All-New HollowGram KNØT, alloy w/ cable cover, -6° 同一
Weight WEIGHT: 7.3 KG / 16.1 LBS WEIGHT: 8.0 KG / 17.6 LBS 違う

最後にしれとっと重量が書いてありますが、購入時に重量を測るまでその重さに気づいていませんでした。ここが後々大きな不満になっていきます。
ちなみにUltegra Di2モデルは、メーカー公表値の重量は7.6kgです。
購入時にサイズ54で、Dura-Aceペダル付きの状態で実測したところ、ジャスト8.0kgでした。

SuerpSix EVOクランク
クランクは

クランクはパワーメーターが内蔵されています。ただし、お金を払ってアクティベーション(?)しない場合は、ケイデンスセンサーしか有効になりません。

重量の大きな違い

パーツ項目 SuerpSix EVO Hi-MOD Disc Dura Ace Di2 SuerpSix EVO Hi-MOD Disc Dura Ace
Rear Cogs Shimano Dura-Ace, 11-30, 11-speed Shimano Ultegra, 11-30, 11-speed
Rims HollowGram 45 SL KNØT, Carbon, 20h front, 24h rear, 45mm deep, 21mm ID, tubeless ready HollowGram 45 KNØT, Carbon, 20h front, 24h rear, 45mm deep, 21mm ID, tubeless ready

購入したDura-Ace(機械式)は、スプロケットUltegraであるため約100g、ホイールのリムがDura-Ace Di2モデルと違うためおそらく約200g程度違うと思われます。合計で300g。
スプロケットは完成車だとグレードを下げている場合がよくあるというのは知っていましたが、フラグシップの下位モデルでホイールのリムを変えてきていたのは気づくべきでした……。
上位モデルでそこそこ軽量化されている完成車の状態から300gの重量を減らすというのはかなりコストがかかります。
Dura-Aceスプロケットに2万円以上、ホイールに30万円以上を投資しなければなりません。
うわー、それだったら8万円プラスして、最初からUltegra Di2買っておけばよかった、とまじで後悔です。

外観

昨今のエアロロード(これはオールラウンドモデル)の流行りで当然のごとくケーブル類が内装になっていて、Di2モデルになるとハンドル周りから一切のケーブルが隠れる仕様になっています。
僕のは機械式のため変速用のケーブルが外に出ているのですが、それでもバーテープから伸びてヘッドチューブあたりで見えていたケーブルがすぐにダウンチューブ中に配線される形になっていて、ハンドル周りはかなりスッキリしています。

機械式の変速ケーブル以外はすべて内装

エアロロード(これはオールラウンドモデルなんですが)でよくあるメーカー独自のステムできれいにフレームの中に配線するような今流行のあれですよ。
シートステーも昨今のエアロロード(以下略)のように、トップチューブシートチューブが直線状に交わるような感じではなく、シートチューブの途中についてます。
そしてリムブレーキではないので、背面から覗くとシートステーの付け根部分も非常にスッキリしていて大変スタイリッシュです。

ハンドル、ステムともにメーカー純正仕様になっているので、ライトやサイコンをつけるために専用のマウンターが付属。

SuperSix EVOのマウンター
SuperSix EVOのマウンター
しかし、これはメーカーが用意しないともうハンドルまわりがカスタマイズできないということです。もうなんか完全にエアロロードのノリですよ。

流行りのシートステー。リムブレーキがないので非常にスッキリしていてかっこいい

CannondaleのSuerpSix EVOといえば、トップチューブが水平でどこかしらクラシカルな細身、軽量フレームという印象があったので、この形状でSuerpSix EVOという名前で出すのが凄い不思議です。
モデルチェンジというよりは別モデルじゃないのかと言ってやりたい。νガンダムだと思ったらサザビーだった、みたいな。

SuerpSix EVOのイメージ
SuerpSix EVOのイメージ(サイクルスポーツ2020年4月号から引用)

基本的な走行性能

ショップの人に言われたのですがディスクロードはたしかにリムブレーキ仕様のものより重量が重くなる傾向があるそうですが、乗ってみると意外と重量を感じさせずキビキビ動くということでした。
乗り出しのペダルを踏んだ感じは、流石にちょっと重い感じはしましたが、スピードがある程度乗ったあとの加速はほとんど変わらないです。
また、以前乗っていたTarmacより、SuerpSix EVOのほうが速度を維持するのは楽でした。
まあ、Tarmacに普段つけていたのがリムの浅いアルミホイールだったので、平坦で速度を維持するならSuerpSix EVOのカーボンディープリムのほうが優位ですよね。TarmacにBora Oneをつけて平地を走ったときは、たしかにアルミのDura-Aceより楽でした。
完成車としてのSuerpSix EVOの巡航する能力は間違いなく高いです。
あとフレームは、わりと硬めのようですがそんなにガツガツした感じはしません。Tarmacよりは硬いでしょうけど、長時間乗っていて疲れやすくなったということもないです。

ダンシング

某自転車雑誌のサイトにあったSuerpSix EVOのインプレでは、気にならないレベルで違和感がある、とかって書いてありましたが、これでマジで気にならないレベルで違和感ないの?と思ってしまった。
これが気にならない、というのならかなり上半身を鍛えてるんですよね?って思ってしまう。平地でダンシングするのならまだわかりますが、斜度がかなりあるような山道で、シッティングで登るのがきつくなった時にダンシングしたら、え?これ本当にオールラウンドモデルの動きなの? 俺、エアロロードで山登ってない? という感じですよ。
ハンドルを左右にふるとかなり重量感があるので、ペダルの踏みこみとハンドルをふるタイミングが合わずにかなりギクシャクとした動きになります。タイミングを合わせるためにはかなり上半身(とくに腕)のふりに力を入れる必要があるので、ヒルクライムの斜度の高いポイントで少し休むためにダンシングしようとすると、かなり面倒なことになります。
足はまだ行けるのに、上半身で力を使ったせいで心拍が上がってしまい、速度も維持できずにシッティングに戻す羽目に。
Tarmacの時は、斜度のキツめのところでダンシングしながらやり過ごす、という形で乗っていたのですが、SuerpSix EVOの場合は斜度のきついところほど、ダンシングは禁止です。

Cannondal SuerpSix EVO Hi-MOD ハンドル
ハンドルはこの位置までしか曲がらないので、Uターンは若干しづらい。ダンシングには影響しているわけではないでしょうが……

ヒルクライム

前述したとおり、ダンシングをすると体力を大きく削がれる仕様となっているのでシッティングで登っていくスタイルに落ち着きます。そして重量が8.0kgのため、今まで乗っていた7.6kgのTarmacより登る時はきつい、ということに気づいてしまいました。これはマジで大きなマイナスです。

ブレーキ

ブレーキ性能は間違いなくリムブレーキよりディスクブレーキのほうが効きは強いです。軽くレバーを握っただけでも、ホイールをロックする印象がありました。
山の下りで常にブレーキを下ハンドルで握る必要があるのはリムブレーキと変わらないですが、握力をそんなに使わない、というのはかなりの体力負荷を軽減させてくれます。
あと、リムにパッドを当ててブレーキをかけないのでカーボンホイールが直接的に痛むことはないです。TarmacにBora Oneのホイールを履いて山を下っていたときは、高いカーボンホイールを傷めないかとブレーキのかけ具合に神経をすり減らしていましたが、そんなことに気を配る必要がなくなりました。最近のホイールは、破断したり溶けたりしないよ、という話ですが、下っている最中にきぃぃぃとカーボンホイールが泣くのは精神的に怖い。

全体的な評価

今まで乗っていたTarmacと比較するとこんな感じです。

項目 Tarmac SuerpSix EVO
平坦 ★★★★☆ ★★★★★
ヒルクライム ★★★★★ ★★★☆☆
巡航 ★★★★☆ ★★★★★
ブレーキ ★★★☆☆ ★★★★★
好み ★★★★★ ★★★☆☆

リムブレーキからディスクブレーキへの乗り換えなので、比較するのは適当ではない気もしますが、前のTarmacのほうが個人的な評価は高いです。適度にしなやかなフレーム、軽やかにできるダンシング、ホイールをディープリムに履き替えればそこそこ巡航速度も上がる。ブレーキ性能や今後のことも考えるとSuerpSix EVOが良いのかなと思いますが、もう買ったらどこもいじることろが無いです。200g軽くするためにBora WTOを購入するしかない、と思うのですが、同じ値段で今年発売されるであろうTarmac SL7が購入できるのであれば、今乗っているSuerpSix EVOを売り払って、乗り換えてしまうかもしれません。